渡辺敬子さんからのメッセージ
苦悩、葛藤、情熱、神秘... 悲劇こそが最も優れた芸術の母であると古代のギリシャ人たちは考えていました。その考えは、数千年経った今も深く西洋文化に根ざしています。
今回のプログラムでは、この永遠のテーマを音楽の中に見出していきたいと思います。
ピアノソナタ第3番を通してスクリャービンは、苦悩の中に生きる人間の魂を、第三者の立場から、ドラマチックに描写しています。
一方、ショパンの「幻想ポロネーズ」は、晩年の彼の心の内の葛藤を一人称で刹那的に語っている曲です。
モーツァルトの「アダージョ」は、彼が「死」について真剣に考えていた時期に作曲されました。彼にとって死は「人生の真の最終目標であり、安らぎと慰めの姿」でした。
ベートーヴェンのソナタ「熱情」では、人間の苦悩や葛藤が情熱的に悲劇へと突き進んで行きます。そして、アリストテレスが言うように、
芸術の中に宿る苦悩や悲劇を見て、ひとは最終的に解放され、救われるのです。
私達人間の心の奥はそれぞれ個人的なものですが、音楽の中で作曲家や先人達の心と共鳴することで、普遍的なものとなります。
皆様一人一人と音楽とが深く結ばれるひと時となりますよう、全力を尽くしたいと思っております。
渡辺敬子(ピアノ)
| 曲目未定 |
スクリャービン ソナタ第3番 Op.23 嬰へ短調
ショパン マズルカ Op.17-4 イ短調
幻想ポロネーズ Op.61
モーツァルト アダージョ K540 ロ短調
ベートーヴェン ソナタ第23番 Op.57 <熱情> |
第182回
藤田 由之(お話)
渡辺敬子 プロフィール
東京芸術大学卒業後、2005年イタリアのローマ・サンタ・チェチーリア国立アカデミーを最高評価で修了、グアリノ賞を受賞。ぺスカーラ国際ピアノコンクール最高位、キローニ国際ピアノコンクール第3位及び特別賞受賞。イタリア各地でリサイタルを行う。
また2008年には同アカデミーの室内楽科を最優秀で修了。ヴィオラとのデュオにてグイ国際室内楽コンクール特別賞、ローマコンクール優勝。イタリア、スイスの各地にてデュオリサイタルを行う。
2009年までのイタリア在住期間、各地にてソロリサイタル、及び室内楽のコンサートにおいて活躍。2010年7月にはオクタヴィア・レコードよりショパンとシューマンの作品による初CDをリリースし好評を博す。
これまでにピアノを宮崎和子、弘中孝、角野裕、セルジオ・ぺルティカロ―リ、室内楽をロッコ・フィリッピーニ、ブルーノ・ジュランナの各氏に師事。
オフィシャルサイト http://www.keiko-watanabe.com